2019 年 2 月 24 日更新

核酸に代表されるバイオ医薬品候補は、多くの難治性疾患の治療に適用できる優れたポテンシャルを有しています。しかしながら、生体内での安定性は十分とはいえず、また標的とする細胞に取り込まれにくいなどの課題を抱えており、実用化はあまり進んでいません。これらの課題を解決するための方法論として、ドラッグデリバリーシステム (DDS) が挙げられます。

DDS とは、薬を体内の必要とされる「部位」に、必要とされる「量 (濃度)」で、必要とされる「時間」において作用させるシステムです。私達の研究室では、高分子材料を基盤としつつ無機材料などをハイブリッドすることで、バイオ医薬品のための DDS をデザインしています。血流を介して例えばがんなどの疾患部位に薬を送り届けるためには、ナノメートルスケールでサイズが調節された DDS、すなわちナノ DDS が有効です。また、サイズの調節だけでなく、免疫系などの生体防御システムから異物として排除されないように、ナノ DDS の表面の性質を制御することも重要です。

下のイラストは、私達のグループがこれまでに報告してきたナノ DDS の例です。これらを用いることで、核酸医薬の生体内での安定性が飛躍的に高まり、固形がんへの集積効率が大きく改善されることが実験的に明らかになっています。その一方で、多様な疾患部位へと薬を届けるためには、さらなる改善、もしくはブレイクスルーが必要と考えられます。私達は、これまで治らなかった病気も治すことができるようになるのではないかと期待して、新たなナノ DDS の創出を目指して研究を行っています。

東京大学大学院工学研究科 マテリアル工学専攻 宮田研究室
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